高槻市長 濱田 剛史殿

2011年12月13日
日本共産党高槻市会議員団
団 長   中村 れい子

    2012年度高槻市当初予算と施策に対する要望書

 3月に東日本大震災が起こり、東京電力福島第1原子力発電所が爆発し、それにより未曾有の大災害になりました。いまもなお、収束には至らず、放射能を放出し続けており被害は広がっています。原子力発電から、自然エネルギーへと政策転換が求められています。高槻市では太陽光発電への補助件数を増やすなど努力されています。しかし、国の政策は必ずしも原発をなくすとはなっていません。原発に頼らないエネルギー政策が必要です。
野田内閣は、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の協議開始を表明しました。このままでは、医療制度など社会保障や日本農業が破壊され、高槻市民も多大な被害を受けることになります。さらに、税と社会保障の一体改革で、医療や介護保険制度の負担増、年金支給率の引き下げ、保育所などの公的責任をなくすなど、暮らし、福祉、食料を守る政治が求められます。国の政治から、市民の生活を守るために、地方自治体の果たす役割は大きくなっています。

 高槻市では、国が地域主権と言いながら、地方の権限(財源)を縮小している下でも、今年度は、市バスの上牧地域への運行計画、中学校給食の検討、保育所待機児の解消に努力されてきました。これからも、住民のくらし応援のための施策実現に、努力されるよう要望します。

 くらしと福祉を守り、中小業者の営業を守り、産業振興を図る立場から、日本共産党高槻市会議員団と高槻・島本地区委員会は、高槻市の2012年度予算編成と市政運営にあたり、7つの柱14項目の重点要望とともに122項目の市民要望を実現されるように強く求めるものです。

重 点 要 望

  1. くらしや福祉の充実を図ること

    ・国民健康保険料の減免制度を充実すること。
    ・高齢者住宅改造補助を復活すること。


  2. 子育て支援や教育の充実、子どもの安全対策を強めること
    ・こども医療費助成の対象を小学校卒業まで計画的に引き上げること。
    ・35人学級を2012年度から小学校3年生に拡大すること。


  3. 環境保全を重視し、住み続けられるまりづくりを
    ・前島クリーンセンターの新炉建設・運営は直営で行うこと。


  4. 雇用の確保について
    ・若年層の雇用の確保を事業所に働きかけること。


  5. 住民犠牲の「行革」をやめること。
    ・官製ワーキングプアをなくす努力をすること。非常勤職員の5年の
    有期雇用をやめること。


  6. 自然や歴史・遺跡を生かしたまちづくりを
    ・安満遺跡公園は、市民が憩える自然を生かした公園にすること。


  7. 国や大阪府に要望すること。

〈国に対して〉

・学校給食食材の放射能検査機器購入に対して来年度以降も助成を継続すること。
・国民健康保険の広域化は行わないこと
・介護保険での軽度者切り捨ての見直しは行わないこと
・70歳から74歳の医療費は1割負担を継続すること。

〈大阪府に対して〉

・救命救急センターの統廃合や補助削減をやめること。
・教育基本条例の撤回と知事提案は行わないこと。

1.福祉優先都市への着実な転換を

医療などについて

○若年健診の受診を促すために、個別通知をするなど特別の対策を講じる こと。
○子宮頸がんワクチン、Hibワクチン(肺炎球菌ワクチン)接種を継続す ること。
○保健所の保健師、栄養士、心理判定員、食品衛生監視員など専門職を、 十分確保し必要な対象者などへの適切な訪問、指導・援助に努めること。
○無料低額診療制度を市内の医療機関に紹介すること。
○樫田地域での診療所と歯科診療の回数を増やすこと。

後期高齢者医療制度について

○減免制度の拡充を広域連合に働きかけること。
○短期証を安易に発行しないこと。

介護保険制度の改善について

○介護保険料の値上げは行わないこと。
○保険料の市独自減免対象の要件を枚方市や大阪市なみに拡大すること。
○地域密着型多機能施設など介護施設の増設をさらにすすめること。
○ホームヘルパー派遣は、家事支援など利用者の状況に応じて柔軟に対応すること。

高齢者福祉について

○単身高齢者住宅家賃補助制度の所得基準を緩和し、高齢世帯にも拡大すること。
○街かどデイハウスへの補助額を増やし、介護予防での地域支援事業の補助単価を引き上げること。
○自立と認定された高齢者への地域支援事業は、住民税非課税の場合は無料にすること。
○緊急通報システム(緊急ペンダント)の対象を拡げ、長時間家族が不在に なる昼間独居なども加え、非課税世帯は無料にすること。
○市バス無料敬老パス継続のために、市バスへの補助を計画的に増やすこと。

国民健康保険について

○国民健康保険の一部負担金減免制度を年金受給者などに拡充すること。
○国保料の値上げは行わないこと。
○短期保険証・資格証明書の発行をやめること。せめて福祉医療制度の対象者への発行はやめること。
○年金受給者で医療費支払など出費が増えた場合は、保険料の減免対象とすること。保険料独自減免は、所得割保険料のみを対象とせず、保険料 全体を対象にすること。収入減少が30%未満であっても生活保護基準等との比較から支払い困難なときは対象にすること。

障害者福祉について

○高槻市が実施するグループホーム、ケアホームへの運営助成を、利用者 の自己負担軽減のためにも引き上げること。
○ガイドヘルパーの利用時間制限の目安(36時間)で制限せず、必要に応 じて利用できるようにすること。児童へのガイドヘルパー派遣時間の上 限を引き上げること。
○紙おむつ、ストマ(蓄便袋)を負担上限額内に含め、負担軽減を図ること。
○相談支援事業の体制強化のため、助成金を増額すること。
○槻ノ木荘利用者のガイドヘルパー利用を、月10時間を必要に応じて時間延長をすること。
○通所施設利用者の送迎補助や家族の同伴送迎への交通費補助など、通所に必要な助成策を実施すること。
○障害者世帯の住宅家賃補助制度を創設すること。

保育行政と子育て支援について

○保育所入所希望者の全員入所に向け、さらに努力すること。
○保育所保育料は住民税非課税以下を無料にすること。
○公立・民間保育所の入所定員の弾力化を最小限にとどめること。
○保育士の障害児加配などは現場の状況に応じて配置すること。
○自宅で仕事をしている場合の入所判定基準の点数について、自宅外の仕事と同じ扱いにすること。
○一時保育を実施する保育所を増やし、短時間労働者などへの子育てサービスを拡充すること。
○認可(民間)保育所への監査指導責任を保育課でも果たすこと。
○認可外保育所に国の基準を守るよう指導を強めること。
○民間保育所の保育料以外の保護者負担はできるだけなくし、少なくとも基準を設けること。

学童保育充実のために

○学童保育室への希望者全員入所のために、引き続き複数クラスにし、 1クラスの定数を40人とすること。
○保育時間を午後7時まで延長すること。
○指導員は非常勤やアルバイトのみでなく、正規職員を配置し、人数も増 員すること。指導員の待遇を責任に見合うものに改善すること。また、障害児加配の指導員配置基準を緩和し増員すること。

保護者負担軽減のために

○就学援助制度の持ち家・借家の所得区分をやめ、所得基準を見直し、補助内容を向上させること。
○給付制の市奨学金制度を検討すること。
○幼稚園就学奨励費の増額や保育料減免基準額を引き上げること。

くらしと生活保護行政について

○生活保護受給までの貸付制度の創設をすること。
○境界層措置該当者の手続きを簡単にし、資産調査などはなくすこと。
○生活保護の医療券方式を改め、受診の手続きを簡素化すること。
○担当ケースが80世帯以下になるよう、ケースワーカーを増員すること。

消費者保護について

○消費生活センターの相談職員を増員し、休日・夜間の受付など相談体制 を充実すること。
○強引な訪問販売、悪質詐欺などへの注意を呼びかける全戸へのチラシ配 布など、被害防止活動を強化すること。
○ヤミ金や多重債務者への相談体制を強化し、債務整理や生活再建への貸 付金制度を創設すること。

2.これ以上の自然破壊をやめ、自然やみどり、環境を守るために

○新名神自動車道、インターチェンジ・ジャンクションを中心としたまちづくりや関連道路沿線の開発はやめること。
○新名神自動車道の、高槻ー八幡間の推進を、国に要望しないこと。
○(仮称)高槻東道路、南平台―日吉台線の整備は、沿線住民の要望に最大 限努力すること。環境調査は調査日数を増やすこと。環境基準が守られ ていない騒音については、早急に対策をとること。
○新幹線騒音・振動公害については、環境基準の1日も早い達成をJRに 働きかけ、市としても環境省へ改善要請を行うこと。また、在来線の環 境基準(騒音・振動)を定めるよう国に要請すること。
○産業廃棄物中間処理業者や、自社物の産業廃棄物を保管している業者へ の指導を徹底すること。また、労働者の健康状況についても把握するこ と。
○企業が生産から廃棄まで一貫して責任を負い、処理困難な製品や品質の 廃棄物を出さない「拡大生産者責任」の具体化を国に求め、市としても 努力すること。
○住宅太陽光への市補助制度を拡充するとともに、学校・公共施設への太 陽光パネルの設置を順次進めること。

3.住民の安全や健康を守り、安心して住み続けられる高槻を

災害に強いまちづくりや生命や財産を守るために

○芥川、桧尾川などの改修を図ること。とりわけJR橋梁(芥川)と堤防の改修を急ぐよう、府やJRに働きかけること。
○消防職員を増員し、国の配置基準への適合を図るとともに、年次有給休暇等の諸権利行使が円滑に進むように努力すること。
○雨水整備を進め、浸水被害の軽減に努めること。
○土石流、地すべり、急傾斜地崩壊など危険箇所の対策工事を急ぐよう、府に求めること。

快適なまちづくりのために

○歩道のない通学路、住宅街で車のスピードを抑える工夫をすること。
○歩道の段差解消の努力など歩行者全対策や管理を強化すること。
○バス停まで距離のある樫田地域へ地域巡回バス・コミュニティバスの運行を検討すること。
住民が主人公のまちづくりのために
○マンション建設などの開発行為に対して、市が業者と住民間のトラブルの調停に入ることを条例で規定すること。
○コミュニティーセンターのスタッフ給与、備品の維持補修や購入への支援策を拡充するとともに、耐震化やバリアフリー化に向けた計画、指針を策定すること。

水道事業について

○下水道使用料も水道料金と同様に引き下げること。
○専用水道や地下水を汲み上げている事業所に、保全協力金を求めること。
○必要のない安威川ダム建設に、これ以上の負担金は出さないこと。
○マンションなど共同受水槽施設についても一戸建てと同様に戸別検針・ 戸別徴収とすること。また、戸別メーターは無料で取り替えること。
○地震に強い水道施設づくりをすすめるために、一般会計からの補助を拡 充すること。

市バス事業について

○「市バスのあるまち、高槻」をつらぬくこと。
○市バス停留所に屋根やテントを順次設置し、夜間でも時刻表を確認でき るようにすること。
○バス停間の距離が長い路線では新たなバス停の設置をすること。

4.どの子も健やかに成長できる教育や生涯学習の充実を

安全な学校・園施設のために

○通学路の安全確保のために、街路灯の増設などをすすめること。
○特別教室や体育館などにも緊急通報の体制を確立すること。
○学校施設の設備改善を図り、エレベーター設置する学校を増やすこと。

ゆきとどいた教育のために

○全国学力テストは参加しないこと。
○習熟度別授業はやめること。
○「日の丸」「君が代」の押しつけをやめること。
○中学校で加配教員を増やすこと。
○支援学級のサポート教室(富田小学校)は、全市域の送迎を保障し、職 員体制、とりわけ医師の派遣回数など、療育面の充実をはかること。ま た、校区の支援学級の設備改善や職員配置を増やすこと。
○教育センターで行っている適応指導教室の常勤研究員・指導員・訪問指導員の体制を抜本的に拡充すること。
○ADHD(高機能自閉児)、LD児(学習障害児)への個別支援の対応を充実 し、保護者などが相談できる体制を確立すること。
○「人権教育基本方針・人権教育推進プラン」に基づく、同和教育の推進をやめること。

安全でおいしい学校給食のために

○米飯給食を週3回(現在週2.5回、年間93回うち77回地元米使用)に増やし、高槻産米使用の回数、年4回の米粉パンの使用回数を増やすこと。
○学校給食の栄養士を1人3校担当から2校担当に増やすこと。
○輸入食材をできるだけ使用しないこと。
○中学校給食を直営方式を維持すること。
○学校食材の放射能検査の品目を増やすこと。

図書館行政について

○図書館への指定管理者制度の導入は絶対に行わないこと。
○正規職員の司書を増やすこと。また、分館にも司書職員配置を適正に行うこと。
○上牧駅前や南東部地域に図書館建設を推進すること。
○図書購入費や資料購入費のための予算増額を図ること。視聴覚資料(CD、DVD等)や団体貸出し資料の充実を図ること。
○対面朗読や読み聞かせのボランティアへの交通費やコピー代を支給すること。

幼稚園教育の充実のために

○公立幼稚園の4歳保育は、希望児全員が入園できるよう定員増など改善すること。
○全園への養護教諭配置を計画的に進めること。就労支援型保育で給食を実施すること。
○私立幼稚園保護者へ公私間格差是正のための補助を拡充すること。とりわけ4、5歳児への就園奨励費補助を引き上げること。

5.農林業や商工業の振興で活気ある高槻を

都市近郊農業と森林保全のために

○生産緑地の指定は、面積要件など国に条件緩和を求めること。
○農林業が続けられるように作業道整備への助成制度を創設すること。
○30年間農業することを義務づけられている生産緑地周辺での開発は、営農条件を配慮した指導を行うこと。
○市街化調整区域や農業振興地域の農地を保全するよう努力すること。
○地産地消をさらにすすめ、特産品の育成、産直運動・朝市への援助を拡 大すること。
○府森林組合がとりくむ大阪材の利用促進への補助制度を創設すること。
○山林保全のため間伐への助成、立枯れ、後継者育成などを強めること。
○有害動物の被害防止柵の設置を計画的に進め、維持補修費用の助成をすること。
○ペレットストーブ、バイオコークス、公共事業への間伐材の公的利用を促進すること。

商工業の振興のために

○「商業活性化条例」を生かし、助成を拡充すること。市場・商店街などの販売促進、集客への取り組みも補助制度の対象にすること。
○市の入札制度を「指名競争入札」から「一般競争入札」に変更すること。
○地元企業・業者からの物品購入等で地元発注率を高めること。
○公共事業は元請け責任を明確にし、下請け、孫請け等への代金未払いがないよう指導すること。「公契約条例」制定に向け検討すること。
○市民生活の悪化への支援として、200平米以下の居住用・小規模事業資産の都市計画税の減税を行うこと。
○指名業者でない小規模業者へ少額の工事発注をするために、「小規模修繕契約希望者登録制度」を発足させること。
○市内事業所を集めての就職説明会を開催すること。
6.「人権」に名をかりた同和事業・同和教育の終了を
○不正入居の是正など、富寿栄住宅の適切な管理に、さらに努めること。
○「人権」に名を借りた「同和研修」「同和啓発」などは行わないこと。
○人権まちづくり協会の富田・春日分局はなくし、府人権協会への分担金はやめること。
○「高槻市人権教育研究協議会」「富田・赤大路地域人権教育推進委員会」 「城南リバティ」への支援をやめること。
○植木団地の不適切な利用を早急に改善すること。また、事実上の植木ゴミ処分料の値引きを止めること。

7.住民本位の財政運営で、公正・清潔・市民参加の高槻へ

住民本位の財政運営を

○安易な外部委託化をやめ、必要な職員体制の確保を図ること。
○基金全体を見直し、何年も使ってこなかったものや具体的な使い道のな い基金については、市民サービスの向上のために利用すること。

平和で民主的、清潔、透明な市政運営のために

○「非核・平和都市宣言」「人権擁護都市宣言」の街にふさわしく、非核 ・平和・民主主義・憲法擁護の施策の具体化と実施を図ること。タチソ などの保存をはじめ、戦争被害の実態の保存に努めること。
○職員研修は全体の奉仕者としての使命感を向上する内容にすること。