2010年3月市議会
日本共産党高槻市会議員団代表質問

 日本共産党高槻市会議員団の勝原和久でございます。市長の施政方針や新年度予算について代表して質問します。

 はじめに、
 市民のくらしと政治の責任についてです。
 日本の経済危機と国民生活の実態は、きわめて深刻です。
 雇用・失業状況も、中小企業の倒産も、史上最悪の状況が続き、1997年から2009年までの10年あまりで、雇用者報酬は、年間総額280兆円から253兆円と27兆円約1割も落ち込んでいます。 高槻市でも、この10年間で市民の所得は大きく落ち込み、納税者一人あたり約53万円、14%落ち込んでいます。生活保護受給者も増え、自営業者は仕事が減り、生活を維持できる収入を得られない状況も増えています。家賃や光熱費の滞納があれば、府や市の融資を借りることができないため、商売をやめざるを得ないこともあります。
 深刻な経済危機から、市民の暮らしと営業を守る政治が求められています。
 市民の生活実態についてどのような認識なのか、お聞きします。

 高槻市はこの間、国の悪政から、市民のくらし、営業を守る独自施策を実施してきました。
 年金控除額の縮小や、老年者控除の廃止、65歳以上の住民税非課税措置の廃止など、増税への対策では、それに伴って値上げになる国民健康保険料への、独自軽減策を講じました。また、障害者施策でも、自立支援法によって、障害が重い人ほど重い自己負担となる応益負担が押しつけられましが、これにも独自対策を講じ、北摂でも府内でもトップクラスの負担軽減になりました。子育て応援では、子ども医療費補助の対象年齢を引き上げました。

 こうした、独自施策を講じてきた高槻市政の変化に注目し、日本共産党議員団は、市政に対して積極的な提案をし、住民要求の実現に努力すると同時に、問題点を質して、がんばるという是々非々の立場を取りました。

 市長選挙後の3年間でも、国民健康保険料は、12年間連続して値上げをしていません。特に昨年は市長の判断で値上げを中止しました。また、介護保険料の値上げをやめ、長年の懸案であった保険料の独自減免制度を創設するなど、市民のくらしを大切にする施策が展開され、また、少人数学級、授業も小学校全学年に拡大してきました。大阪府に対しても、三島救命救急センターへの補助削減の動きに、補助を継続を要求し、府は削減を断念しました。さらに、同和問題でも、富寿栄住宅の一般公募が行われ、悪質な長期家賃滞納者へは訴訟を提起する毅然とした態度を取りました。
 しかし、行財政改革と称して、高齢者住宅改造費助成制度など、市民の切実な願いに基づいたサービスの削減が行われました。また、関西大学への支援のように、市民のなかに税金の使い方として意見が分かれる問題など、もっと慎重な対応をするべき問題もあります。

 新年度は、市長の任期4年間最後の年度です。市長自身が市長選挙で掲げた公約について、3年間仕事をし、4年目の予算を提出する段階で、どう評価しているのか、答えて下さい。

 第2の柱は、くらしと地方自治に逆行する国・府の政治についてです。
 国が本来は、財源措置すべき地方交付税を、臨時財政対策債で、地方に借金させるやり方が、長年続いています。新年度は、過去最高の50億円を予算化していますが、財源の補償もなく、国が決めた制度を、地方自治体に押しつける深刻な状況です。
 その上、社会保障制度についても、この間の社会保障費削減政策がもたらした数々の「傷跡」を治していくことが必要です。

 まず1点目に、後期高齢者医療制度です。
 新政権は、制度廃止を先送りにし、さらに、保険料値上げをしないですむように、予算をつけると言ってきましたが、結局つけませんでした。その結果、保険料大阪府広域連合は4月から5%の値上げを決定しました。
 廃止を先送りし、市民に大きく影響する値上げになった事態について、市はどう受け止めていますか?お答え下さい。
 また、、事実上、保険証を取りあげる資格書は発行しないとする、国の通知に則して、府の広域連合も発行を見合わせるとしました。
 保険料を6ヶ月滞納すれば短期証になりますが、後期高齢者にとって保険証はまさに命綱です。短期証になった事情や、状況を把握するなど、丁寧な対応が求められますが、市の対応はどうなりますか。お答え下さい。

 2点目に、障害者自立支援法の、全サービスの自己負担を応能負担にするのに、全国で約300億円必要です。しかし、国の新年度予算では、100億円しか予算化せず、自立支援医療や地域生活支援事業の1割負担はそのままです。特に、市町村事業の地域生活支援事業の応能負担化について、国は「市町村で検討を」と無責任な態度です。高槻では、地域生活支援事業の自己負担は、独自施策によって多くの場合無料でサービスを提供しています。
 今回、国が必要な予算の3分の1しか予算をつけていないことで、市の負担はどうなるのか、また、サービス利用者への影響をお聞きします。

 3点目に、保育所の基準緩和の問題です。
 国は、保育所のさらなる定員の弾力化と、園児ひとりあたりの専有面積基準の緩和を、全国の自治体を対象に行おうとしています。市はこれまで、国の示す定員の弾力化率より5%低く運用し、その結果、子どもひとりあたりの専有面積も、基準スレスレではありますが、守ってきました。
 2月17日付けの厚労省通知は、弾力運用の定員の上限を撤廃しようとするものです。これは、保育の最低基準を撤廃する方針で、面積を緩和し、子どもを詰め込めるだけ詰め込めむことで、待機児解消を図ろうとするものです。
 今後、面積などは自治体の条例で定めるとしていますが、市はどう考え、これにどう対応しようとしていますか、お答え下さい。

 4点目に、地方分権といいながら、国自身が制度を決めて、地方に財源の負担を求めるという手法になっている問題です。
 これまでも国は、公立保育所の運営費の負担を一般財源化し、国庫負担を減らしてきました。新年度、子ども手当の実施や障害者自立支援法の応益負担の廃止に必要な財源は、本来、全額国が負担すべきものです。しかし、現実には、自治体の新たな財政負担を生んでいます。地方自治体の手足を、制度や、新たな財政負担で縛っておきながら、地方分権だと言って自由にせよという国の手法に、しっかりものを言う姿勢が必要ではありませんか。お答え下さい。

 5点目に大阪府の橋下知事の維新プログラムについてです。
 府は、今までに、学校学習田や、森林ボランティア育成事業への補助までやめました。そして、2011年度には、学校警備員への補助も容赦なく切り捨てようとしています。
 府の補助打ち切りに対し、ものを言う。また、学校警備員は市の独自財源ででも続けるべきですが、市への影響、また、市がやめる事業があるのかどうか、お聞きします。

 質問の第3の柱は、市民のくらしを応援する施策として、高槻市が新年度に最低限実施すべきいくつかの提案です。

 第1にセーフティーネットのさらなる充実です。
 まず1点目は雇用についてです。全国的にも昨年の完全失業率は5.1%で、求人の動きも鈍く、有効求人倍率も0.47と史上最悪の水準です。
 ワークサポートたかつきでの今年1月の求人紹介件数は、前年同月比で26%増えており、雇用状況が、より悪化しています。
失業による生活保護の申請も増え、去年とくらべ約5割の増となっています。
 実態にあった雇用対策が求められます。「就職活動をしても仕事が見つからない」「安定した仕事に就きたい」など、不安や切実な声が聞かれます。
 丁寧な就労相談や就労面接機会の拡大のため、市内企業や介護、福祉施設の面接相談会の開催、雇用拡大を申し入れるなどの就労支援をすることが必要ではありませんか。市の考えをお聞きします。

 次に2点目に、生活支援策についてです。
 国の「住宅手当給付制度」の支給期間が、6ヶ月から9ヶ月に延長され、早い時期に申請された方の支給期限が6月まで延びます。しかし家賃給付期限後、なお、住宅を失う恐れのある場合への対応が必要です。また、高槻ではこれまで114人の申請がありましたが、制度の周知が不充分なため、見込み人数の20%の利用にとどまっており、全国では4.3%しか利用されておらず、自営業者は対象外など、改善すべき点もあります。
 家賃給付受給者への支援体制と、制度の周知徹底についてどう考えていますか。
 また、国は2003年7月の「ホームレスに対する生活保護の適用について」の通知で「保護の相談に来訪した際、当該実施期間で必要な保護を行う」として、居住用件は問わないこととしていますが、市の対応はどうなっていますか。それぞれお答え下さい。

 第2に、高齢者施策についてです。
 大阪府下での孤独死が昨年3万人あまりにのぼり、防止のための地域ネットワークづくりの強化が必要です。現在も、民生委員による訪問活動、地域福祉委員会による小地域ネットワーク、老人会の訪問、地域包括支援センターによる総合支援業務が取り組まれていますが、それぞれ個別の活動になりがちで、情報を共有しながら横の連携を図っていくネットワーク機能が不十分です。その要因に、民生委員は高齢福祉課、小地域ネットワークは社会福祉協議会、地域包括は介護保険課と、縦割り行政の弊害があります。
 それぞれの取り組みを有機的につなぐために、縦割りを解消し、チーム体制にすること。そして、地域包括支援センターを核に、ネットワークづくりを進めることが必要です。市は現状をどう認識していますか。また、取り組みの前提となるべき高齢者の実態把握調査が必要ではありませんか。併せて、これまで繰り返し実施を求めている、緊急通報装置の設置用件を拡大する考えはありませんか。それぞれ、お答えください。

 第3に、国民健康保険についてです。
 高槻市が、第63回近畿都市、国民健康保険者、協議会総会で提案し、採択された国への要望書では、「後期高齢者医療制度の創設は、財政難にあえぐ国民健康保険を救済する意味も含んでいたはずであるが、逆に財政難がさらに悪化し、市町村、被保険者の大きな負担増へとつながっている」と、国保財政の悪化の原因が、後期高齢者医療制度と、それを推し進めた国にあると、市自身も認めています。
 にもかかわらず国は、国保加入者のくらしや健康を守る立場で、保険料を据え置き、子どもや障害者の医療費補助を行っている自治体の努力に対して、財政支援するどころか、ペナルティーで国庫補助を削減し、国保財政に占める国庫割合を減らしています。
 国保財政悪化の原因は加入者にも、市にもありません。改めて、こうした事態を招いた原因を、どのように考えていますか。また、国保を運営する保険者として、国の悪政を国保加入者に押しつけるのか、防波堤になるのか、市の対応が問われます。どう考えているのか。併せてお答え下さい。

 第4に子育て支援策についてです。
 認定子ども園についてお聞きします。女性の労働や社会参加を応援し、増え続ける保育所入所待機児童の解消に、新たな取り組みを進めることは必要です。ただ、その実施にあたっては、設置基準や職員の配置基準などについて、現在の保育所基準を下回らないこと。同時に、待機児解消のためには、市の保育所入所選考基準点数表に沿って、緊急度の高い子どもから入所できることが必要です。
 しかし、国が昨年3月に出した「認定子ども園のあり方に関する検討会報告書」では、「職員配置、調理室や屋外遊戯場等に関する基準は、すでに相当程度規制緩和している」とし、「さらに必要な見直しを行う」と、保育基準の規制緩和を、さらにすすめる方向です。待機児解消の点でも、入所の申込・契約は、子ども園と利用者間での直接契約となっており、市への入所申込とは別枠で、子ども園の入所選考基準ができることになります。それは、これまで、「保育に欠ける」緊急度に応じて、保育所入所を決めてきた保育制度に、ダブルスタンダードを持ち込むことになり、緊急度に応える待機児解消につながりません。
 施政方針では「2011年度設置に向け、その具体化を図る」としていますが、保育基準をいかに低下させないか、そして、緊急度に応える待機児解消について、どう対応するのかが問われます。2つの点について、現在の市の認識と、検討の方向性はどうなっていますか。また、待機児をひとりでも少なくしていくための根本策は保育所の増やすことではありませんか?それぞれにお答え下さい。

 第5に障害者施策についてです。
 幅広い障害者のみなさんの運動の結果、自立支援法の応益負担が見直されます。しかし、それ以外に、作業所へ行くための送迎費用、昼食等、利用者は、手にする給料以上の自己負担を依然として負担し、生活施設ではさらに、日用品費、水光熱費、ケアホームでは家賃の実費負担が求められ、応益負担の見直しだけでは、手放しで喜べません。障害基礎年金のみで生活する障害者の生活状況について市はどう考えていますか?
 2つめに、市の移動支援やコミュニケーション支援は、余暇活動や社会参加等、日常生活にかかわる利用は認められています。しかし、仕事上の研修や仕事場までの移動など、就労にかかわる利用は認められていません。国連の障害者権利条約では、第5条で「差別を撤廃することを目的として、合理的配慮が提供されることを確保」すべきとしています。自ら生計を立てる就労への支援を制限する根拠は何で、これは、条約の「合理的配慮」を欠くものではありませんか?併せてお答え下さい。

 第6に教育制度についてです。
 1点目は、教職員を増やし、35人以下の少人数学級を小中全学年に拡げることが、子どもの学力の向上と落ち着きにつながるという点です。
 教育委員会は、学力向上の施策として「放課後学習室」「授業改善推進」「ICT教育推進」と今まで実施してきた取り組みに加え、新年度「小中一貫教育システムの研究開発」を行うとしています。
 しかし、その取り組みを担い、実際に推進する現場の教職員の勤務実態は、文部科学省の調査でも、持ち帰り時間も含め、平均11時間を超え、その大半を、子どもたちの指導に直接かかわる時間に割かれ、テストの採点など、間接的にかかわる時間は2時間あまりで、教育委員会のこうした取り組みを受け止める時間的能力を超えています。
 様々な取り組みを、いくら詰め込んでも、期待した結果は得られないことは、教育委員会自身がよく解っていることではないでしょうか?
 現場で子どもたちと向き合う教職員の勤務実態と、教育委員会の取り組みを受け止める許容範囲についてどう考えていますか?また、少人数の学級編成や授業が、子どもの理解度の向上や落ち着きにつながることは、市教育委員会も認めています。この大道を歩むことこそ必要ではありませんか?それぞれにお答え下さい。

 次に、就学援助制度についてです。
 就学援助の所得基準は、生活保護基準の1.2倍だと、教育委員会は説明してきました。しかし、昨年の決算委員会で、「実際に受け取る保護費の1.2倍と差異がある」と答弁しました。新年度、名実ともに1.2倍の所得基準に見直すべきではありませんか。併せてお答え下さい。

 第7に農林業や地元商店を応援する取り組みです。
 1点目に、地元商店街の支援についてです。
 市の資料では、高槻市は府内でも有数の商業都市の1つであるとしています。しかし、高槻市の廃業率は5.9%で、全国や大阪府平均より高くなっています。
 2008年は14年前に比べ、1000店舗以上減少し、約7割になっています。その多くが、駅前の中心市街地から離れた地域の市場、商店街です。年間販売額も1138億円、約82.4%に減少しています。商店街がなくなり、スーパーも撤退すると困るのは遠くまで買い物に行けない方です。
 地域商業活性化条例では「商店街及び小売市場を地域の核、市民の交流の場」として、にぎわいと活性化を図るとしていますが、この不況の中、地元商店の活性化のために、市内での消費購買力を増やす努力が必要です。市として商店街の大売り出しや、商店街独自のクーポン券などの販売促進や集客につながる事業への補助をする考えはないのか、お聞きします。

 2点目に、高槻の良さであるみどり豊かな山林や農地などの自然を守り、生かしていくことです。
 農業に携わる関係者の努力で、農家が減っている中でも、市街地に農地が生産緑地として残り、コメの収穫高は、1998年の
1750tから2005年には1970tと220t増えています。農業に携わるみなさんの努力をどう評価していますか。また、市として、調整区域に農地を残すように計画を持つこと。また、市街地でも農地を残せるようにすべきです。市の見解を求めます。

  次に、山林を守り保全することも大事なことです。市の林業は、採算性の悪化から、管理が不十分な森林が増加しています。森林面積の約半分を人工林が占め、その約半分が保育を要する若齢林です。 作業道を整備し、人工林の管理をすることが必要ですが、市の考えをお聞きします。

 3点目に、史跡・遺跡を生かした取り組みです。
 施政方針で「全国に発信する」としていますが、それだけでなく、全国からきてもらえるようにすることが大事です。そのために、日祝日には史跡や遺跡をめぐるバスを走らせるなど、工夫がいると思いますが、その考えはありませんか。お答え下さい。

 以上、提案した施策の充実は財政的にも可能です。
 確かに、国による三位一体改革や、補助金の一般財源化、負担金の削減などの影響で、何でもかんでもできる財政状況や見通しではありません。それでも、市は、「将来に備えて」「いざというときに」と借金を減らし、基金を増やす財政運営を計画的に行ってきました。その結果、昨年度決算では、100億円以上、基金が減税補填債や臨時財政対策債を除く借金を上回り、施政方針でも「府内トップレベルの健全財政を堅持」としています。
 昨年来の不況による雇用、生活不安、消費の低迷で商店街もさらに大変です。健全財政をまもり「いざというとき」に備えてきた「いざというとき」は「今」ではありませんか。見解を求めます。そして、提案した、くらしを支え、営業を応援する施策の実施は財政的は可能ではありませんか。併せてお答え下さい。

 第4の柱は、地方自治の確立についてです。
 憲法は、地方自治が、「住民の意思に基いて、国から独立した団体により、団体自らの意思と責任において、行われなければならない」と定めています。
 地方自治には、民主主義の基盤を育み、また中央権力の巨大化を抑制して権力分散を図るといった重要な役割があります。
  しかし、国の政治はこの原則を踏みにじるものが多くあります。
  市町村合併についても、自治体の自主的な意思によるものではなく、国の行政指導、財政誘導によって押しつけられています。何よりも自治体と住民の意思が尊重されるべきです。施政方針では「島本町との広域連合の勉強会で、合併も含め調査・検討する」としていますが、どういう経過で検討することになったのか、また、市の合併に対する基本的な立場をお聞きします。

 次に、「地方自治」にふさわしい職員体制が必要です。そのためには、いろんなノウハウを持った職員の育成と、経験の蓄積と継承が欠かせません。しかし、現状は、過去5年間で、700人以上が退職し、今後3年間で300人以上が退職予定です。
 市民に対して責任を持って仕事をするには、計画的な職員採用と育成に努める事が必要ですが、市の考えをお聞かせ下さい。 

 最後に、日本共産党高槻市会議員団は、国政でも、高槻市政でも建設的野党として、実際に、くらしや、営業の大父}な実態に即して、具体的な提案で、一歩でも二歩でも苦難解決のために頑張ることを表明して、質問を終わります。