2007年6月市議会
日本共産党高槻市会議員団代表質問
2007年6月25日

 日本共産党高槻市会議員団を代表して市長に質問をいたします。

 はじめに、
 小泉・安倍内閣のもとで格差と貧困の広がりが深刻な問題になっています。高齢者への住民税非課税措置の廃止、年金控除の引き下げ、定率減税の縮小・廃止による庶民への大増税、それに連動する国民健康保険料の値上げ、加えて昨年は、介護保険料も見直しが行われ値上げになり高槻市民にも大きな影響が出ています。
 その一方、空前の大もうけをしている財界には減価償却制度の拡充でいっそうの減税をし、大銀行には不良債権があるからと法人税の減税措置が講じられ6大銀行の法人税はゼロになっています。

 日本の最低賃金は異常に低く、非正規雇用は過去最高の33.7%に広がっています。貧困の根源に人間らしい労働のルールがないこと、「逆立ち」した税制という2つの問題があります。

 高槻市ではくらしを守り格差を埋めるために市ができる可能な限りの所得再配分ができる予算にするべきです。市の生活保護、児童扶養手当を受給する人はこの数年増え続けています。高槻市民のくらしの状況をどう認識されているのか、また、税金のとりかたについての市長の見解をお聞きします。

日本共産党は市長選挙で、この間、公的年金控除の引き下げで、国民健康保険料が大幅値上げになった場合の軽減制度の導入、障害者施策ではガイドヘルパーを月12時間無料にしたことなど、前向きの施策と選挙公約のなかで良い面をのばし、市民の願いを一歩でも前進させるという立場で臨みました。施政方針では、子ども医療費助成の就学前までの拡大、少人数授業を小学校全学年で実施する方向など、市民の願いが盛り込まれており評価できるものです。しかし、その一方で、同和事業の継続やいっそうの職員減らしなど問題点も多くあります。ぞれを前提に具体の質問をいたします。

 第1の柱は、貧困と格差を広げる政治からくらしを守ることです。

 最初に、5000万件の宙に浮いた年金問題についてです。
 新たに1400万件以上の入力していないデーター、入力ミスなど国民の不安はますばかりです。1人の被害者も出さないという立場から、高槻市が持っている国民年金のデーターを積極的に加入者本人に提供する必要があります。また、市でできる手続きを市民に知らせることも大事です。市の広報で知らせるなど対策をとる考えはありませんか。答弁を求めます。

 次に、国民健康保険についてです。
多くの加入者が保険料を高いと感じています。保険料が未払いになっている世帯が17.9%です。だからこそ、支払いが困難な場合の減免制度拡充が求められます。現在は、年金など収入が一定だと減免は適用されません。医療費の支払いなど大きな支出があれば適用することが必要です。
 また、こども医療費補助など福祉医療証を発行している世帯には、滞納しているからと短期証、資格書の発行はすべきではありません。それぞれに答弁を求めます。

 次は、介護保険問題です。
第1に、保険料の市独自の減免制度をつくる必要があります。20%の値上げに加え、税制改悪の影響もあり保険料の負担は3年間で17億5600万円も増えています。枚方市では、世帯非課税、年収150万円以下で預貯金が350万円以下など条件がありますが軽減策を実施しています。
第2に、介護報酬の問題です。特別養護老人ホームの夜間体制は、入居者25人に介護者は1人、老人保健施設では50人に1人という基準です。これでは事故や非常時に対応できません。朝食時は少ない施設で9人に1人の介護者です。利用者1人1人の食事介助することはほとんど不可能です。食事や入浴介助、夜間の態勢などについて実態調査をし、状況を把握することが必要です。その上で、国に介護報酬の引き上げ、人員をもっと増やすように求めるべきです。
 第3に、昨年4月に介護保険の給付制度が大きく改悪され、高槻市でも、電動車イス約350人、電動ベット約140人の方が利用できなくなりました。購入できなければ外出することもできなくなります。東京都が購入費用を補助し、港区や豊島区ではレンタル料の補助を行っています。市として必要な人が利用できるように独自の補助を実施するべきではないでしょうか。それぞれに答弁を求めます。

 昨年スタートした障害者自立支援法は、
障害者、家族、関係者の全国的な運動で一年も経たないうちに自己負担限度額の引き下げが行われましたが、それでも重い負担です。しかも、国は介護保険との統合をにらみ1割負担は見直そうとはしていません。原則1割負担を元の応能負担に戻すことが障害者の方が安心してサービスを受ける土台になります。国に1割負担を見直すよう市として働きかけるべきはありませんか。
 また、サービスの低下も大きな問題です。通院の付き添いにガイドヘルパーが利用できないこと、ケアホームでホームヘルパーが利用できない問題など改善が必要です。市が実施する生活サポート事業を活用すれば要望にこたえることは可能です。市にその考えはありませんか。お答え下さい。

次に、生活保護制度についてです。
 母子加算は、もともと18歳以下の子どもがいる1人親家庭が対象でしたが、小泉「構造改革」で16歳から18歳の子どもがいる世帯への加算は2005年度以降段階的に削減され今年度の廃止が決まっています。市として国に、老齢加算、母子加算の復活を求めること。また、ケースワーカーを増員し、十分相談にのれる体制をつくることを求めます。答弁をしてください。

 第2の柱は、子育てを応援し、基礎学力をつけるための教育環境の向上についてです。

こどもの医療費補助を就学前まで拡大するという提案が行われています。しかし、小学校3年生まで、あるいは卒業するまで実施している自治体もあります。今後の問題として小学校卒業まで計画的に拡大することを求めます。市の立場は対象年齢を拡大する方向なのかお聞きします。

 次に、就学援助制度について伺います。
 国が準要保護児童への補助を廃止し一般財源化しました。学用品の負担が大変で、全国的に「100円ショップのたて笛で音の調子が合わない」など問題になっています。高槻市も昨年、所得基準を生活保護基準の1.3倍から1.2倍に引き下げ、600人が制度を受けられなくなりました。元々の基準でも生活保護基準以下になる場合もあります。子どもたちに切ない、肩身の狭い思いをさせてはいけないと思います。市として、国の負担を増やすよう求めるとともに所得基準を元に戻す考えはありませんか。市の見解を伺います。

 大阪府は今年から小学校1年2年を35人以下学級にしています。高槻市では今年4月から3年、4年に独自に少人数授業を実施しています。このことは学校現場からも保護者からも大変評価されています。
 中学校での30人学級の実現を求める声も大きくなっています。国が行っている少人数指導、生徒指導など教員の加配はきめ細かな指導で大きな効果があるとされています。もっと加配を増やすことが必要ではないでしょうか。
 小学校の少人数授業に続き中学校で少人数指導や生徒指導の教師の加配を市独自に増やす考えはあるのかお聞きします。

 第3の柱は、自然や歴史、環境を大切にした活気あるまちづくりについてです。

 まず、農林業の振興についてです。
 2005年に高槻市は新たな「農林業振興ビジョン」を策定し、実施計画に基づき施策をすすめています。しかし、その後、国が価格政策を廃止しました。また、新たな経営安定対策も府や市にその対象はありません。
 続けたい人、やりたい人をすべて大事な担い手として応援することや、農家の連帯、消費者・住民との共同を強め地域農業をまもる取り組みが必要です。
 大阪府も農業振興条例の制定をめざして議論が行われています。高槻の振興ビジョン策定の審議会でも、「市の農林業振興条例が必要」という意見もでていました。
 高槻の貴重な財産でもある都市農業と林業を守るための「条例」をつくる考えはありませんか。答えてください。

 商業活性化条例を高槻市は昨年、制定しました。
 その条例にもとづき振興策の強化が期待されてるところです。条例をどう生かすか、また、条例の対象でない個々の地域毎の商業者の経営やまちづくりの応援をするのに商業振興予算を増やすことが必要です。
 商工費のなかの委託料や振興補助は、数年前には市歳出合計の1%前後でしたが徐々に少なくなってきています。アーケード電気代の復活など振興補助の内容充実、商業団体となっていない個々のお店などに応援策の検討が必要です。どのような認識をお持ちなのかお答え下さい。

 次に、第2名神自動車道建設の問題です。
 市長は、「早期全面開通」とともに、「まちづくりの主役は市民」とも打ち出しています。しかし、国家プロジェクトとしての第2名神は、第二京阪など周辺の道路整備がされ必要性は少なくなっています。環境影響評価も不十分なままです。また、建設には高槻・神戸間40キロメートルで7133億円、高槻・城陽間14キロメートルで4996億円という巨費を投じることになります。改めて第2名神の建設中止を求めます。そのことを明らかにした上で、質問をいたします。
 第2名神、インターチェンジ・ジャンクション、仮称高槻東道路、南平台・日吉台線の道路整備で沿線住民に立ち退きが強要されることになります。
 宮が谷、日吉台では立ち退きにならない場合、道路ができれば住み続けられない状況になる地区もあります。第2名神を建設するために一部住民の犠牲はやむを得ないと言うことでしょうか。それは許されないことです。
 地域住民への被害を少しでも少なくする努力が市に求められています。国や西日本高速道路株式会社、大阪府にどうゆう立場で働きかけるのか、市としてはどう努力するのか。明らかにしてください。

 次にJR高槻駅北東地区の開発問題です。
 今回、関西大学の新キャンパス構想を、「教育」、「安全・安心のまちづくり」の観点から、「支援策を検討」としています。そして、「経済効果」を調査する予算も提案されています。
 「どのような支援ができるかという検討」は必要でしょう。しかし、問題は、「経済効果」という場合、いつも実態に合わない途方もない金額が試算されます。サッカースタジアムを建設するときには、ガンバ大阪を誘致すれば10年間で195億円経済効果があると推測しました。今回も実態に合わない推測をし、それをもとに税金投入をすると言うことなのでしょうか。大学は経済面だけでなく多面的な効果があることは否定しません。だからといって関西大学が要望している土地の無償提供という数十億円単位の支援をする必要があるとは思えません。「経済効果」の調査結果によっては高槻市の支援のあり方が変わるのか、お聞きします。

 次は、図書館の整備計画についてです。
 高槻北部に図書館を建設するとされています。新たな全体構想の検討はいまの計画を前提とすると考えますが、今後の建設計画をお聞きします。また、上牧駅前の公共用地に図書館建設の要望が地域からも出されています。どんな検討をされてきたのかお聞きします。

 次に、環境問題です。
 今年度から新たに住宅用ソーラーシステムなどへの補助制度の創設、公共施設への積極利用などは評価されるものです。さらに積極的に新エネルギーの導入や普及促進を図る必要があります。今年2月にまとめた新地域エネルギービジョンは地球温暖化防止へ多様な新エネルギーの導入や普及を促進させる指針となるものです。
 菜の花でつくるナタネ油や廃油を加工したバイオディーゼル燃料がCO2削減の手段として注目されています。大阪府が中心になり、この8月から公用車やバスなどへの利用実験が始まります。また、高槻では樫田、三箇牧、三島江、西面などの地域の皆さんが1.5ヘクタールで菜の花を栽培されています。
 高槻でもバイオディーゼル燃料の利用や促進、菜の花栽培面積の拡大への応援も含め対策を講じるべきと考えますが、その方向性について答弁を求めます。

 次に、市バス敬老パスと、コミュニティーバスの運行について伺います。
 市バス敬老パスの有料化は市民の大きな運動とともに市議会で否決され高齢者の貴重な施策が守られました。コミュニティーバスの運行をするからと言って敬老パス有料化をすることは許されません。別々に議論すべき問題だと思いますが、市の見解を求めます。
 また、コミュニティーバスの路線や停留所について、市バス路線のない地域、路線があってもバス停が遠い地域、病院や福祉施設に行くなど住民の要望をくみ取ることが必要ですが見解を求めます。

 第4の柱は、同和事業の終結についてです。

 日本共産党はどんな差別も許さず解消のためにがんばってきました。昨年度、大阪市や京都市、奈良市でも明らかになった同和利権の問題はもはや特別対策が差別解消に役立つどころか、税金を食い物にしてきたことを物語っています。同和事業を続けることが差別拡大につながってきました。同和事業の根拠となる法律がなくなり4年になります。それでも同和事業や同和地区を固定化させようとする「部落解放同盟」の策動が続いています。同和事業そのものを終了させるべきです。
 高槻でも市営住宅の不明朗な入居や駐車場の管理運営、使用料の滞納など解決が求められる課題が残っています。市の認識を伺います。
 次に、富田、春日地域人権協議会の問題です。補助金で相談事業を実施しているにもかかわらず、さらに1件1万円をかけて総合生活相談事業を実施しています。地域人権協議会への補助金や大阪府人権協会の分担金を廃止すること。また、総合生活相談事業は市全体を巡回するべきです。それぞれ見解を求めます。

 第5の柱は、憲法や地方自治をまもる問題です。

 過去の侵略戦争を正当化する立場や教育への介入、憲法9条を改定してアメリカの先制攻撃戦略に追随して「海外で戦争をする国」につくりかえる策動が強められていることは重大です。いま必要なことは、憲法9条を生かし世界とアジアの平和と安定、友好に寄与することではないでしょうか。高槻市は姉妹都市、友好都市との提携の目的に、「両国の友好と、世界平和に貢献する」としています。
 そこで、日本の憲法、とりわけ9条が果たしてきた役割についての認識をお聞きします。

 次に、真の地方自治と地方分権に向けての課題です。
 小泉「構造改革」路線の後を受けた安倍内閣も、「地方分権」とは名ばかりの地方自治体を財政的にも追い込む、「三位一体改革」など地方自治体への干渉や介入がかつてなく強められています。
 今回の住民税の定率減税の廃止、税源委譲で税率を10%にするフラット化で市民の負担増は大変なものです。同時に、高槻市も国からくるべきお金が差引5億円減ることになっています。また、「官から民へ」「国から地方へ」の掛け声で、「地方行革」の押しつけ、サービス切り捨てと民営化路線を一段と推進する一方、市町村合併を強力に押しつけています。
 国の改革路線を、どのように考えているのか。お聞きします。

 また、市として、さらなる「行革」で、市民サービスの低下、ゆきすぎた職員削減、公共施設で企業が営利活動をする指定管理者制度の拡大などは本当の改革とはいえません。市の見解をお聞きします。

 最後に、
 「貧困と格差」が社会のすみずみを覆い、普通に働いていてもまともな生活を維持することさえ困難な人びとが増大しています。自らの汗と努力で築いてきた、つましい暮らしさえ根こそぎ失われかねません。国民の暮らしと権利を守るためにがんばることを申し上げて代表質問を終わります。